2016年DTMパソコンの最低スペックとは?Ableton Liveを快適に動かす自作PC。HaswellとSkylakeの比較
前回の続きです。今回は前半が自作PC構築の内容です。DTMパソコンとしての使用感を参考にされたい方は後半のみチェックしてください。
前回記事
2016年版DTMパソコンの最低スペックとは?Ableton Liveを快適に動かすための必要スペックを考察
HaswellとSkylakeどちらを選ぶか?
前回、Ableton Liveを快適に動かすための最低スペックを紹介しました。実際に自作PCを構築する場合、Haswell世代からSkylake世代に移りかけているタイミングなので、どちらで構築するか?を選択する必要があります。
マザーボード、CPU、メモリの3パーツは世代によって選択する製品が異なります。電源、SSD、HDD、CPUクーラー、ケースなどのパーツはどちらの世代を選択しても同じ製品が使えます(相性問題などは除く)
Haswell世代を選択するメリットは、在庫処分セール?のような値下げを頻繁に見かけるので、価格を抑えた構築が可能となります。マザーボードとメモリ(DDR3)のセールを頻繁に見かけます。
SkylakeのマザーボードでもDDR3やDDR3Lを使える製品もありますが(製品名にD3と入っているもの)、Skylakeの性能を100%引き出せなかったり、次世代のPCへパーツを引き継げないなどを考えるとSkylakeを選択するならメモリはDDR4の一択です。
Skylake世代を選択するデメリットがHaswell世代より予算多めに必要。DDR4のメモリは8GBが割高感あるので16GBを選択したくなる(Ableton Liveは8GBでも十分快適)この2点ぐらいで、メリットが大きく上回ってます。
Haswell世代のPCからパーツ(CPUやメモリ)を流用してグレードアップさせたい人、とにかく安くDTMパソコンを構築したい人以外は、Skylake世代の選択をオススメします!
SkylakeはCPU温度が上がらない!?
Skylake世代のCPUに関するレビューや記事にはCPU温度が上がりにくい報告を多く見ます。CPU温度が上がらないというのは、静音性を必要とするDTMパソコンにはとても重要なことです。
CPU高負荷 → CPUが熱くなる → ファンが高速回転 → 煩い
静音ケースやら静音ファンやら考える以前に、CPU温度が安定すれば根本的な解決になります。個人的に下記サイトがとても参考になりました。
関連サイト
驚異的ワットパフォーマンス、SkylakeローエンドのG4400
偶然にもG3220、Core i3-4130を使った後に、G4400を購入してレビュー。私と同じ流れです。
記事後半にOCCT CPU負荷時の比較グラフがあり、G3220が60度、Core i3-4130が69度に対してG4400は40度!?しかもリテールクーラーで。さすがに半信半疑でしたが、G4400購入(Skylake選択)の決め手になりました。
CPU温度が40度~50度であれば、利用予定のCPUクーラー(Cooler MasterのHyper TX3 EVO)で1000rpm程度(ケース内ならほぼ無音)の状態で運用できることになります。
Skylakeのマザーボードはコストパフォーマンスが高い!
Skylake世代のマザーボード、チップセットはZ170、H170、B150、H110というラインナップ。好みでマザーボードはASRockとASUSしかチェックしていませんが、H110チップセットのマザーボードでもデジタル電源回路が搭載されていたり、VRMフェーズ数が6だったり。
Haswell世代なら上位のチップセット搭載マザーボードにあった構成が一番リーズナブルなH110チップセットで搭載されています。もちろん上位チップセットにはそれ以上のメリットが上乗せされています。
Haswellのマザーボードが安くなっていることを加味しても、Skylakeのマザーボードはコストパフォーマンスが高いと感じます。
メモリの選び方
まず、誤解されがちなメモリの選択方法として、ヒートシンクが付いている(チップ見えていない)タイプが良いと思っていませんか!?
メモリもオーバークロックできるので、オーバークロックを考えてる人はヒートシンク付きを選ぶでしょうが(そもそもオーバークロック対応のメモリでヒートシンク付いてない製品はないような?)定格利用ならあっても無くても違いはありません。
DDR3は1.5V、DDR3Lで1.35V、DDR4なら1.2V。発熱量など微々たるものです。突起が付いていたりカラフルなデザイン重視のヒートシンク付きで値段が上がっているメモリは割高なので避けましょう。
最近の私のメモリ選択方法は、メーカーが「Kingston」であること。メモリに限らずですが、長く自作PCをやっていると信頼しているメーカーなど好みが出てくるところです。
マザーボードはASRockかASUS。CPUクーラーはCooler Master。電源はCorsair。ケースはAntecかAbee。HDDはWESTERN DIGITAL。SSDはSamsungかSANDISK。あくまで好みです。
Ableton Liveを快適に動かす最低スペック自作PC
Ableton Liveを快適に動かす必要最低スペックまとめ。
・CPU:Pentium Dual-Core
・メモリ:8GB
・SSD搭載
・推奨:Skylake世代の構成
・推奨:80PLUS認証の電源
これを踏まえて、安さにこだわった構成を考えてみました。価格は記事作成中にチェックした最安値。
パーツ | 製品 | 価格 |
---|---|---|
CPU | Intel Pentium G4400(3.3GHz/2コア) | 7,379円 |
マザーボード | ASRock H110M-HDV | 7,989円 |
メモリ | CFD DDR4 PC4-17000 4GB×2枚 | 4,970円 |
CPUクーラー | GELID Siberian CC-Siberian-01 | 1,344円 |
SSD | crucial CT120BX100SSD1 120G | 5,280円 |
光学ドライブ | LGエレクトロニクス DVDドライブ GH24NSD1 | 1,870円 |
ビデオカード | 無し | - |
ケース | Antec P100 | 9,202円 |
電源 | ANTEC NeoECO Classic NE550C | 5,475円 |
合計 | 43,509円 |
ケースは静音性を考慮してAntec P100としましたが、もっと安価でも良いケースがあれば、初めての自作PCとして4万円で構築できそうです。SSD120GBなので、サンプル音源など大量に使用する場合はHDD増設。別途OSライセンス。キーボードやマウスなども必要あれば。という感じです。参考にしてください。ご相談あればツイッターでどうぞ。
Skylake構成の自作PC
今回、自作したPCはこんな感じです。
パーツ | 製品 |
---|---|
CPU | Intel Pentium G4400(3.3GHz/2コア) |
マザーボード | ASRock H170 Pro4 |
メモリ | Kingston DDR4 PC4-17000 8GB×2枚 |
CPUクーラー | Cooler Master Hyper TX3 EVO |
SSD | Samsung SSD840EVO 120GB×2(RAID 0) |
光学ドライブ | 無し |
ビデオカード | 無し |
ケース | Antec Solo II |
電源 | Corsair CX430M |
購入はCPU、マザーボード、メモリ、CPUクーラー、ケース。SSDと電源は流用です。CPUグリスはCPUクーラー付属のものではなく、AD-DA シルバーグリス Arctic Silver 5.0という製品を使ってます。オススメなグリス。OSはWindows10を初導入!
ケースにAntec Solo IIを選択しましたが、Antec P100と価格差5000円程度で作りが全然違います!しっかりした作りで、ポリカーボネート貼ってある2層構造パネルが想像以上に好印象!
Antec P100も静音ケースとして高評価?のようですが、個人的には価格なりの作りという印象でレビューサイトほどの良い印象はありません。長く使うケースとして5000円差ならAntec Solo IIをオススメします。さらに5000円アップ可能ならAbeeのsmart J07Rを。
関連記事
Antec P100の問題点!コストパフォーマンスが良い?Antec P100を6ヶ月利用したレビュー
起動の速さがスゴイ!
Windows10だから?SSDのRAID 0構成だから?OSの起動はもちろん、各ソフトの起動が速い!!
電源を入れてWindows10のログイン画面まで4秒~5秒。Ableton Liveの起動も5秒前後(ただし、インストールしているVSTプラグインやPackがあまり多くない状態)
他のソフトもメインPCのHaswell Core i3-4130、DDR3 8GB×2、SSD(RAID無し)構成より起動が速い結果に。Haswell構成のPCも決して遅いわけではありません。Windows8.1で起動後ログイン画面までは10秒程度。Ableton Liveも起動まで10秒程度。不満が無かった状態で今回の起動速度は衝撃でした。
通常の利用(負荷が高くない)では体感速度に違いを感じません。負荷が高い処理では、メインPC(Haswell Core i3)に余力アリ。Ableton Liveで同じプロジェクトのエクスポートをすると新PC(Skylake Pentium)で40秒前後のものはメインPC(Haswell Core i3)では30秒前後。さすがにCPUの性能差がでます。
それでもPentium搭載端末とCore i3搭載端末で10秒程度しか差がないので、SkylakeのPentium性能の高さ、コストパフォーマンスの良さが際立ちます。
CPU温度が上がらないは本当だった!
起動速度も驚きましたが、一番の衝撃はCPU温度!
CPUクーラーはCPU温度が50度以下なら1000rpm程度で回るような設定をしています。室温18度の部屋。ネットや動画再生などを複数タブで頻繁に利用した状態で、CPU温度は25度を越えません。
Ableton LiveのCPUロードメーターが90%程度になるようにしてループ再生、しばらく放置。Haswell Core i3-4130だとCPU温度が60度を越えてファンの音が気になるレベルに回る状態ですが、Skylake Pentium G4400はなんと!CPU温度がMAXで35度!CPUクーラーは1000rpmのまま!凄過ぎて思わず笑いました。
Ableton LiveがCPU高負荷状態なのに、ケース(Antec Solo II)の静音性が高いのもあって、ほぼ無音。DTMパソコンとして優秀です。Antec Solo IIのケースファン音が僅かに気になるので、この温度ならケースファン止めて静音性を優先させても良さそうです。
SkylakeならCore i5あたりを選択しても、Haswell世代ではTDP84WがSkylake世代はTDP65Wという差。Core i3やCore i5も試したくなりますね。
SkylakeのCPU温度が上がらないは本当でした!DTMパソコンにSkylake構成が非常にオススメ!と言えそうです。
追記
Antec Solo IIのケースファンを外して、CPUクーラーは900rpmまで下げました。室温17度。Ableton LiveがCPU高負荷状態の90%超え。ブラウザも立ち上げてタスクマネージャーのCPU負荷は92%。この状態で30分使用してみましたが、CPU温度はMIX32度!
CPUクーラーはファン無しの強力なヒートシンク(有名なサミュエル17など)だけでも運用できるのでは!?無音化を試したくなります。現状でもほぼ無音ですが・・・Skylake凄過ぎる。